発明家(Inventor)と同時にクリエーター(Creator)
実はロニー・ジョンソンがハズブロ社と契約書で交わされている、その二次元、三次元の意匠ロイヤリティーの背景には、アメリカの著作権法があります。
『Super Soaker』のデザイン自体、三次元的に著作権化されていますから、実は特許より厳しいとされる著作権法で守られています。2013年のハズブロとロニー・ジョンソンとの裁判ではそれも争われて巨額の賠償金となりました。
この著作権法、アメリカではミッキー・マウス保護法とも呼ばれていて非常に厳しいのです。
なぜミッキー・マウス保護法と呼ばれるか?
実はミッキーマウスの著作権が切れかかると保護期間を延長してきた過去があるからです。
ディズニーには力があります。くまのプーさんは借りているキャラクターなので、多少痛し痒しですが…
特許より著作権!?
アメリカの著作権法の厳しさを物語る、こんなお話があります。
任天堂のファミリーコンピュータがアメリカで大ヒットして、カセット式のゲームソフトを販売していましたが、コピー製品が後を立たちませんでした。
やがて価格の高い正規製品が売れなくなり、大幅に利益を圧迫し始めました。
そこで、任天堂は策を撃ちます。
本体とこのカセット式ゲームソフトを暗号で認証させて、暗号を著作権登録したのです。これにより著作権法で守られて、収益を回復させました。
それほどアメリカの著作権法は厳しいのです。
ちなみにアメリカの特許期間は大体の場合20年。
法人著作物は公表後95年保護されます。
特許が切れてもまだ著作権法があるのです。
そこまで計算して契約書を交わしたロニー・ジョンソンはただの発明家ではなくて、かなりのビジネスマンです。
それまでもらっていたロイヤリティと合わせると一体どれほど稼いだのでしょう?
また、それだけではありません。
本来1983年に出願されてその日から起算しますから、2002年にパテントは切れる計算です。
しかし一流の発明家は改善を怠りません。断続的かつ集中的に数年にわたり、加圧式水鉄砲の特許出願が1983年以降も、実は2000年を過ぎても出されています。
今の加圧式水鉄砲で使われている『ピンチトリガー』と言われる特許は、1990年に出願されています。
これは加圧されている水の出口にある塩ビ管を、引き金を利用して機械的につまむ(pinch)ことによって止水、発射させる技術です。
止めると同時に異常な加圧があると、つまむ力を上回るので安全弁の働きをする事になっています。(ここの変形が加圧式水鉄砲の良くある故障の原因でもあるのですが…)
今の水鉄砲は、加圧し過ぎれば実際にはタンク、レバーなど他の部分が先に壊れますが、あくまでも特許に良くありがちな『理論』です。
『将来』にはそうなる事もあるので包括的に捉えるているのです。
進化し続ける水鉄砲
この様にロニー・ジョンソンも水鉄砲を改善し続けていますが、ハズブロ社やハズブロ社に吸収されたララミ社にいた技術者が作った『Water Warriors』のバズビートイ社(Buzz Bee Toys Inc.)も、また特許を多く出願しています。
彼らは法廷で争うこともありあますが、そのおかげでこれからも水鉄砲は進化し続けていきます。
横濱水鉄砲研究所設立のきっかけ
結局、他社がそれらの特許切れのマージンをとって加圧式水鉄砲を開発制作して加圧式水鉄砲を売られたのが2006年あたり。
急に加圧式水鉄砲が出始めたのが、そのような理由だと研究所では推測します。事実、横濱水鉄砲研究所調査の結果、メーカーもその可能性を否定していません。
その後市場にたくさんの水鉄砲が市場に出始めた2008年に、横濱水鉄砲研究所を開設したのです。